社会とのチューニング

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アニメが純粋に楽しめない ー アニメ制作の現場を見て思うこと

先日、「君の名は。」で有名な新海誠監督のスタジオで働いている方のお話を聞く機会があった。

 

予想していたことだったが、当然定時なんてなく、とにかくスタジオや監督から一般企業では考えられない要求が飛んでくるとのこと。ちなみにその方はアニメーターではない。

 

アニメーターの方にお話を聞く機会もあったが、6/7に放送された、NHKクローズアップ現代で放送されたように、とにかく低賃金、長時間労働というお話だった。

 

私は、子供の時に見た「もののけ姫」でアニメが好きになった。

 

人間の想像力によって、とにかく制限がなく作れるのがアニメの魅力だ。

 

アニメの制作現場が、こんな状況だと知ってしまえば、

 

いくら素晴らしい作品を見せてもらっても、子供の時のように、純粋に作品を楽しむことができないのだ。

 

中国のiphone工場や、東南アジアのマクドナルドの工場の現状を知った時のように、いくらそれが素晴らしくても、美味しくても、憂鬱な気分になる。

 

現状打破についてだが、アニメーターが組合を作るなどして、現状以上の制作費を交渉しなければならない。

 

しかしながら、テレビ産業が斜陽である以上、改善が望めるとは思えない。

 

一概的に搾取されているとは言えない面もある。

 

 

 

少し前に、キングコング西野亮廣さんが、自身の絵本を無料公開した時批判を浴びたが、

 

私は眼球が飛び出るくらい頭にきた。

 

特に頭にきたのは、「子供達のために」絵本を無料公開した、という文言である。

 

西野さんの言動からは、自身の行動が、本当に子供のためなのか?お金や名声のためではないのか?という疑問に十分に答えられているとは思えなかった。

 

私は、作品から透けて見えてしまう欺瞞性や無関心性が本当に嫌いなんだよ!!

 

その言葉を聞くまでは、絵本のクオリティ、世界観はとても素晴らしいと感じていたため、

 

心底がっかりした。

 

 

ただ、彼の言っていること、やっていることは間違いではない。

 

お金の稼げるクリエイター、そうでないクリエイターの差は今後どんどん開いていくだろう。

 

本来、彼は何も責められることはしていない。

 

 

 

これも前の話であるが、ドワンゴ会長の川上さんが、スタジオジブリ宮崎駿監督に怒られる場面が、NHKで放送された。

 

川上さんは人工知能が学習した効率的な生命の動きを宮崎監督に見せたのだが、

 

宮崎監督は「生命に対する侮辱を感じる」として突っぱねた。

 

私は少し宮崎監督の気持ちがわかる気がした。

 

川上さんが見せた人工知能の動きというのは、

 

私にとっては動物が苦しみ、のたうちまわっている動きにしか見えなかった。

 

それはまるで、原爆が落とされた時に、熱で皮膚を焼かれのたうちまわった人間のようだった。

 

 

 

西野さん、川上さんのお二方の件は、一方的な正しさを他人に押し付けてしまったことによる不幸なのではないかと思う。

 

別に宮崎監督を持ち上げるために書いたのではないが、彼の最後の作品に見られるように、戦争嫌いな自分と兵器が好きな自分、どちらかを否定するのか、または両立するのかを突き詰められた作品だと思う。

 

話が完全にそれてしまった。

 

アニメを視聴する側も、ただ楽しければいいや、という姿勢ではやはりいけないのだと思う(常にそうである必要性はないが。)

 

制作する側が幸せでなければ、素晴らしい作品など作れないのだから。